
こんにちは。よっしーです(^^)
本日は、Go言語のよくある質問 について解説しています。
背景
Go言語を学んでいると「なんでこんな仕様になっているんだろう?」「他の言語と違うのはなぜ?」といった疑問が湧いてきませんか。Go言語の公式サイトにあるFAQページには、そんな疑問に対する開発チームからの丁寧な回答がたくさん載っているんです。ただ、英語で書かれているため読むのに少しハードルがあるのも事実で、今回はこのFAQを日本語に翻訳して、Go言語への理解を深めていけたらと思い、これを読んだ時の内容を備忘として残しました。
Type Parameters
なぜパラメータ化された型のレシーバに、より具体的な型を使用できないのか?
ジェネリック型のメソッド宣言は、型パラメータ名を含むレシーバで記述されます。呼び出し時に型を指定する構文との類似性から、一部の人は、レシーバにstring
のような特定の型を指定することで、特定の型引数に対してカスタマイズされたメソッドを作成できるメカニズムだと考えました:
type S[T any] struct { f T }
func (s S[string]) Add(t string) string {
return s.f + t
}
これは失敗します。なぜなら、コンパイラはstring
という単語を、メソッド内での型引数の名前として解釈するからです。コンパイラのエラーメッセージは「operator + not defined on s.f (variable of type string)
」のようなものになります。これは混乱を招く可能性があります。なぜなら、+
演算子は事前宣言された型string
では問題なく動作しますが、この宣言がこのメソッドにおいてstring
の定義を上書きしており、演算子はその無関係なバージョンのstring
では動作しないからです。このように事前宣言された名前を上書きすることは有効ですが、奇妙なことであり、しばしば間違いです。
解説
この問題は何について説明しているの?
ジェネリック型で、「特定の型の場合だけ専用のメソッドを作りたい」と思っても、それはできないという話です。
具体例で見てみよう
次のようなコードを書きたいとします:
type S[T any] struct {
f T
}
// 「Tがstringの時だけ使える特別なメソッド」を作りたい
func (s S[string]) Add(t string) string {
return s.f + t // stringの連結
}
これは「S
がstring
型でパラメータ化されている時だけ、文字列を連結するAdd
メソッドを使えるようにしたい」という意図です。
なぜエラーになるの?
実は、この書き方ではまったく違う意味になってしまいます!
コンパイラはS[string]
のstring
を「stringという名前の型パラメータ」として解釈します。つまり:
// コンパイラはこう理解する:
// 「stringという名前の新しい型パラメータを定義した」
func (s S[string]) Add(t string) string {
return s.f + t
// この時点で、stringは「元々のstring型」ではなく
// 「stringという名前の任意の型」を指している!
}
このため、s.f
は「string
という名前の未知の型」となり、+
演算子が使えません。
エラーメッセージが混乱を招く理由
エラーメッセージは「operator + not defined on s.f (variable of type string)
」となります。
これを見ると:
- 「え?
s.f
はstring
型って書いてあるのに、なぜ+
が使えないの?」 - 「普通の
string
なら+
が使えるはずなのに…」
と混乱します。
実は、このメソッド内では:
- 元々の
string
型(文字列型) - 新しく定義した
string
という名前の型パラメータ
という2つの別物が存在し、後者が使われているのです。
これは何の問題なの?
Goでは、事前定義された名前(like string
, int
, error
など)を上書きできます:
type string int // これは合法だが、非常に混乱を招く!
func main() {
var s string = 10 // この「string」は整数型!
}
メソッドのレシーバでS[string]
と書くと、同じことが起きてしまいます。
じゃあどうすればいいの?
残念ながら、特定の型に対してだけ専用メソッドを定義することはできません。
代わりに、次のような方法があります:
方法1: 型制約を使う
// 文字列のような型だけを許可
type S[T ~string] struct {
f T
}
func (s S[T]) Add(t T) T {
return s.f + t
}
方法2: 別の型を定義する
// ジェネリックではなく、具体的な型を作る
type StringS struct {
f string
}
func (s StringS) Add(t string) string {
return s.f + t
}
方法3: 型スイッチを使う
type S[T any] struct {
f T
}
func (s S[T]) Add(t T) T {
// 型によって処理を分ける(メソッド内で)
var result any = s.f
switch v := result.(type) {
case string:
return any(v + any(t).(string)).(T)
default:
return t
}
}
(ただし、これは複雑で推奨されません)
まとめ
- レシーバで
S[string]
と書いても、「string型専用メソッド」にはならない - 代わりに「
string
という名前の型パラメータ」として解釈される - これは事前定義された型名が上書きされるため、混乱を招く
- 特定の型だけの専用メソッドは作れないというのがGoの設計
この制限は不便に見えますが、Goのシンプルさを保つための設計判断です。型ごとに特別な動作が必要な場合は、別の型を定義するか、関数を分けるのがGoらしいやり方です!
おわりに
本日は、Go言語のよくある質問について解説しました。

何か質問や相談があれば、コメントをお願いします。また、エンジニア案件の相談にも随時対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
それでは、また明日お会いしましょう(^^)
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