こんにちは。よっしーです(^^)
今日は、App Engineについて解説しています。
背景
App Engineについて調査する機会がありましたので、その時の内容を備忘として記事に残しました。
App Engineとは
Google Cloud PlatformのApp Engineについて説明します。
App Engineは、Googleが提供するフルマネージドのPaaS(Platform as a Service)ソリューションです。開発者がインフラストラクチャの管理を気にすることなく、アプリケーションの開発と展開に集中できるようにするサービスです。
主な特徴と機能:
- 自動スケーリング:
- トラフィックに応じて自動的にリソースを増減させます。
- 瞬間的な負荷スパイクにも対応可能です。
- マルチ言語サポート:
- Java, Python, Node.js, Go, PHP, Rubyなどの主要な言語をサポートしています。
- 2つの環境:
- スタンダード環境:特定の言語バージョンと制限付きのライブラリで高速起動
- フレキシブル環境:Dockerコンテナを使用してカスタム実行環境を構築可能
- バージョニングとトラフィック分割:
- 複数のバージョンを同時に実行し、トラフィックを分割できます。
- A/Bテストや段階的なロールアウトが容易です。
- 統合サービス:
- Memcache, Task Queue, Scheduled Tasksなどのサービスと統合されています。
- セキュリティ機能:
- SSL/TLSの自動管理
- ファイアウォール、IAMによるアクセス制御
- モニタリングとロギング:
- Cloud Monitoringと Cloud Loggingとの統合
- アプリケーションのパフォーマンスと健全性の監視が可能
- データストレージオプション:
- Cloud Datastore(NoSQLデータベース)
- Cloud SQL(リレーショナルデータベース)
- Cloud Storage(オブジェクトストレージ)
- カスタムドメイン:
- 独自ドメインの使用が可能
- 地理的分散:
- グローバルな展開が容易
- 課金モデル:
- 使用したリソースに応じた従量課金制
- 無料枠あり(一定量まで無料で使用可能)
App Engineの主なユースケース:
- Webアプリケーション
- モバイルバックエンド
- RESTful API
- IoTアプリケーション
- 内部ツールやダッシボード
App Engineは、インフラストラクチャの管理を簡素化し、スケーラビリティを自動化することで、開発者が本質的なアプリケーション開発に集中できるようにします。特に、急速に成長するアプリケーションや、変動の大きいトラフィックパターンを持つアプリケーションに適しています。
種類
App Engineの具体例や種類について説明します。
App Engineには主に2つの環境があります:
- スタンダード環境
- フレキシブル環境
それぞれの環境の特徴と具体例を見ていきましょう。
- スタンダード環境:
特徴:
- 迅速な起動
- 自動スケーリング(ゼロインスタンスまで可能)
- サンドボックス化された安全な環境
- 特定のランタイムバージョンのみサポート
サポートされる言語/ランタイム:
- Python (2.7, 3.7, 3.8, 3.9, 3.10)
- Java (8, 11, 17)
- Node.js (10, 12, 14, 16, 18)
- PHP (5.5, 7.2, 7.3, 7.4, 8.0, 8.1)
- Ruby (2.5, 2.6, 2.7, 3.0)
- Go (1.11, 1.12, 1.13, 1.14, 1.15, 1.16)
具体例:
a) シンプルなWebアプリケーション(Python/Flask):
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
@app.route('/')
def hello():
return 'Hello, App Engine!'
if __name__ == '__main__':
app.run(host='127.0.0.1', port=8080, debug=True)
b) RESTful API(Node.js/Express):
const express = require('express');
const app = express();
app.get('/api/users', (req, res) => {
res.json([{ id: 1, name: 'User1' }, { id: 2, name: 'User2' }]);
});
const PORT = process.env.PORT || 8080;
app.listen(PORT, () => {
console.log(`Server running on port ${PORT}`);
});
- フレキシブル環境:
特徴:
- Dockerコンテナを使用
- より柔軟なランタイムとライブラリの選択が可能
- バックグラウンドプロセスのサポート
- SSHアクセス可能
サポートされる言語:任意(Dockerfileで指定)
具体例:
a) カスタムランタイム(Dockerfile):
FROM python:3.9
WORKDIR /app
COPY requirements.txt .
RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txt
COPY . .
CMD exec gunicorn --bind :$PORT main:app
b) バックグラウンドワーカー(Python):
import time
def background_task():
while True:
print("Performing background task...")
time.sleep(60)
if __name__ == '__main__':
background_task()
App Engineの種類(コンポーネント):
- サービス:異なる機能を持つ複数のマイクロサービスを1つのアプリケーション内で実行可能。
- バージョン:各サービスの異なるバージョンを同時に実行し、トラフィックを分割可能。
- インスタンス:アプリケーションを実行する実際の計算リソース。
- App Engine Cron サービス:定期的なタスクのスケジューリング。
- Task Queues:非同期タスクの実行。
- Memcache:高速なインメモリキャッシュ。
これらのコンポーネントを組み合わせることで、スケーラブルで柔軟なアプリケーションを構築できます。
Compute Engineとの違い
App EngineとCompute Engineの違いについて、主要な点を比較しながら説明します。
- サービスモデル:
- App Engine: PaaS (Platform as a Service)
- Compute Engine: IaaS (Infrastructure as a Service)
- 抽象化レベル:
- App Engine: 高レベルの抽象化。インフラストラクチャの管理が不要
- Compute Engine: 低レベルの抽象化。VMレベルでの制御が可能
- 管理の複雑さ:
- App Engine: ほぼ全ての管理をGoogleが行う。開発者はアプリケーションコードに集中できる
- Compute Engine: OS、ミドルウェア、ランタイムなどの管理が必要
- スケーリング:
- App Engine: 自動スケーリングが組み込まれている
- Compute Engine: 手動または自動スケーリングの設定が必要
- 言語とフレームワークのサポート:
- App Engine: サポートされる言語とフレームワークが限定的
- Compute Engine: どんな言語やフレームワークも使用可能
- カスタマイズ性:
- App Engine: 制限がある(特にスタンダード環境)
- Compute Engine: OSレベルから完全にカスタマイズ可能
- 起動時間:
- App Engine: 非常に高速(特にスタンダード環境)
- Compute Engine: App Engineと比べると起動に時間がかかる
- 料金モデル:
- App Engine: リクエスト数、CPUとメモリの使用量に基づく
- Compute Engine: インスタンスの稼働時間に基づく
- 永続性:
- App Engine: ステートレスアーキテクチャを推奨
- Compute Engine: ステートフルアプリケーションに適している
- アクセス制御:
- App Engine: アプリケーションレベルのアクセス制御
- Compute Engine: OSレベルでのアクセス制御が可能
- ネットワーキング:
- App Engine: 制限付きのネットワーキング機能
- Compute Engine: フルネットワーク制御が可能(ファイアウォール、VPCなど)
- 用途:
- App Engine: Webアプリケーション、モバイルバックエンド、マイクロサービスに適している
- Compute Engine: データベース、ゲームサーバー、レガシーアプリケーションの移行など、幅広い用途に適している
- バージョニングとトラフィック分割:
- App Engine: 組み込みの機能として提供
- Compute Engine: 手動で設定する必要がある
- デプロイメント:
- App Engine: シンプルなコマンドやGUI操作でデプロイ可能
- Compute Engine: イメージの作成とインスタンスの起動が必要
選択の基準:
- 管理の手間を最小限にしたい場合、または標準的なWebアプリケーションを迅速に展開したい場合はApp Engine
- 最大限の制御と柔軟性が必要な場合、または特殊なシステム要件がある場合はCompute Engine
両サービスは排他的ではなく、同じプロジェクト内で組み合わせて使用することも可能です。例えば、WebフロントエンドにApp Engineを使い、データベースやバッチ処理にCompute Engineを使うといった構成も可能です。
おわりに
今日は、 App Engineについて解説しました。
何か質問や相談があれば、コメントをお願いします。また、エンジニア案件の相談にも随時対応していますので、お気軽にお問い合わせください。
それでは、また明日お会いしましょう(^^)
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